第一回入賞作品



高砂短歌大賞

115 風うけて帆をふくらませ無限なる海を楽しむ船がゆきおり

神戸市 今井 修

 

 

選者プロフィール

高砂市教育長賞

269 大地震の震の一字の辰の字のへば悲しも辰年初日

洲本市 島田 英樹


兵庫県歌人クラブ賞

174  起し田に水を張る朝鍬かつぎ野武士のごとく門先くだる

千葉県 山本 

 

神戸新聞社賞

195  あちこちにサンタがいるから本物と偽物がいると娘の仮説

 加古川市 鈴木 翔太


高砂歌人クラブ賞

138  遠浅の父の背泳ぎ眺めてた今はもう無い高砂の浜

高砂市 今井 慎一


42  手づくりの筆談ボードうれしくて聞こえる相手に書いて見せたり

尼崎市 和田守玖子


51  リハビリの窓の向こうに乳母車ひかりの中を遠ざかりゆく

神戸市 杉村 芳美


入選

58  久々にやまがら鳴くを聞き取れば補聴器ごしの会話が弾む

京都府 北条  暦


146  もう今は施設が母の家となりぼくたちだけの旅の始まり

南あわじ市 前畠  一博


154  笠雲に入日の映えて六甲山うす紅の雪や降るらん

宝塚市 小竹   哲


227  月のない夜のコーヒー波立たせ知らない僕が僕を見ている

栃木県 斎藤  君


275  初めてのプログラミングに挑戦の子らが手を合わす「動け動け」と

大阪府 蟬   正敏


佳作

13  高砂の穴子香ばし播磨灘みなとの競りの鐘ひびくなり

神戸市 山口  泰


25  真夜中のナースコール押したけど押さねばよかった 不機嫌な声

高砂市 松本芙美子


99  母逝きて二年たちても愛犬は街で擦り寄る車椅子へと

宝塚市 河内 香苗


101  指定席と言わんばかりにストーブの前に香箱座りする猫

埼玉県 白藤 巳玲


169  うすあおきアサギマダラの羽根おもい藤袴植う時間かかるとも

戸市 乾  外志


178  一言がその一言がのみこめず海を見たくて坂くだりゆく

明石市 宮脇 経子


282  春月へ鉄と油の香を放つ若き重機は一日を終えて

神崎郡 青田 綾子


311  衣食住足りて気ままに出歩ける今の私は〈期間限定〉

伊丹市 中村かずえ